スマホとは、「スマートフォン」の略です。「スマートフォン」とは、日本語でいえば「賢い電話」という意味です。何が賢いかについて、以下に解説します。
固定電話の時代
昔、一般的だった固定電話は有線でつながっていたので、その場所でしか電話ができませんでした。
携帯電話の時代(1G~4G)
ところが、携帯電話ができて無線で電波の届く範囲で電話ができるようになりました。携帯電話の歴史は、第1世代からだんだん進化して現在第4世代(4G)(GとはGeneration…世代の意味)」となって、ただ電話するだけではなく、さまざまな応用機能が使えるようになりました。
ここで、第1世代(1G)から第4世代(4G)の携帯電話を分かりますく簡単に解説します。
【第1世代の携帯電話(1G)…アナログ回線】
初代の携帯電話は、固定電話と違って、移動先で電話ができるようになりました。しかし、道に例えるなら、1G(第1世代)の携帯電話の通信回線は、田んぼのあぜ道のようなもので、電話するだけの機能しかありませんでした。
最初の携帯電話は、日本、米国、欧州の地域別に技術開発が進められ、アナログ無線技術の地域別仕様が策定されて商用化となった。この「アナログ無線技術のモバイルネットワーク」が第1世代(1G)。80年代から90年代にかけてのことでした。昔懐かしいポケットベルも同じ通信回線でした。
【第2世代の携帯電話(2G)…デジタル回線のはじまり】
90年代になると、無線技術のデジタル化が進み、デジタル無線技術を用いたモバイルネットワークが標準化され、サービス提供が始まりました。通信回線はだんだんはやくなりました。いままで田んぼあぜ道のような通信が、アスファルト舗装したように快適になりました。
このデジタル無線による携帯電話システムが第2世代(2G)だ。無線技術がデジタルになると、データ通信サービスの提供が容易になりました。
そこで、メールをはじめとする携帯データ通信の利用が本格化しました。国内では、1999年にNTTドコモがiモードを開始し、各種の情報提供やインターネットメールを携帯電話で使えるようになり、携帯データ通信の利用が一気に広がったのでした。
携帯データ通信を日常的に利用するようになると、ユーザー(利用者)は高速化を求めます。これに応える技術開発も進められ、3Gのコア技術となる「CDMA(Code Division Multiple Access、符号分割多元接続)」を用いた「cdmaOne」が商用化されました。cdmaOneは、3Gを先取りした高速化技術であったため“2.5世代”と呼ばれました。
【第3世代の携帯電話(3G)…国際規格の標準化】
1G同様、2Gも地域ごとに別々の技術で商用サービスが始まったので、当時の携帯電話は地域限定の携帯電話でした。今のように、1台の携帯電話を持ち歩いて世界中で使うことはできませんでした。この問題を解決するために、国際連合の専門機関であるITU(国際電気通信連合)が標準化を進めたのが3Gの回線です。
3Gの特徴は「初めての国際標準」のほかにもう一つあります。それは継続的かつ急激な高速化が実施されたことです。3Gの当初の開発目標だった2Mbpsという最大データ速度は2000年代に入って軽々とクリアされ、10M~20Mbpsクラスの高速化技術が実用化されるようになりました。
これらの高速化技術は、その技術的な特徴から二つに分かれます。一つは3Gの技術をベースに高速化する方法で3.5Gと呼ばれたのでした。
【第4世代の携帯電話(4G)…スマートフォン】
さらなる高速化のために4G向けの新技術を先取りした高速化技術「LTE」(Long Term Evolution)です。将来の4G時代にでも利用できる「長期的な革新技術」として開発されたことから命名され、4Gを先取りした3G技術ということで3.9Gと呼ばれました。
4Gは技術的な定義とサービス名称としての使われ方に若干のズレがあります。ただ、ユーザー目線で4Gを位置付けるなら、4Gは「スマートフォンのためのモバイルネットワーク技術」であると言えます。
道に例えるなら、3Gまでは一般道路ですが、4Gは高速道路です。通信速度の速さが格段に進んだため、様々な応用機能のあるアプリケーションソフトが使えるようになりました。
アプリとはアプリケーションソフトの略で、小さなコンピューターだけどたくさんの応用機能が使えるという意味です。
アプリは大きく分けると、SNS系アプリ、業務系アプリ、ゲーム系アプリ、地図アプリの4つの種類があります。このように電話だけでなく、様々な応用機能が使えるためスマートフォンと呼ばれています。
アプリの種類 | 内 容 |
SNS系アプリ | アプリに登録したユーザー同士で情報の発信や共有ができ、交流を行えます。 |
業務系アプリ | 従来の業務の効率化やコスト削減を手助けし てくれるのが業務系アプリです。 |
ゲーム系アプリ | 一人でプレイするシンプルなものから、多くのユーザーと交流を行いながら進めていく「ソーシャルゲーム」と呼ばれるものまでゲーム形態は様々です |
地図アプリ | 端末のGPSと連動させることで地図上にユーザーの現在地を表示させる |
【第5世代の携帯電話(5G)…高速大容量通信】
第5世代の携帯電話である5Gの世界は、道に例えるなら、たくさんの高速道路が立体交差する世界だといえます。
そのには3つの特徴があります。それは、①高速・大容量、②高信頼・低遅延、③多数同時接続、です。
①高速・大容量
通信機器は世代交代のたびに回線速度と通信容量が向上します。そのため、5Gは4Gよりも高速で大容量のデータ通信が可能です。5Gは「どのくらい速度が速くなるの?」という点に関して、具体的には「4Gよりも約100倍の速度」を誇ります。分かりやすく言えば、4Gで映画をダウンロードするのに約5分の時間を要していたものが、5Gであれば約3秒で完了するのです。世代交代によるデータ通信の速度は「1980年からの40年間で約100万倍速くなっている」と言えば、通信技術の進化がより想像しやすいでしょう。
②高信頼・低遅延
速度や通信容量に加え、5Gは「データ通信中に遅延が起こりにくくなる」という特徴を備えています。遅延のないデータ通信が行えるようになれば、離れた場所に居る複数人がリアルタイムで会議を行ったり、医師が遠隔地からロボットを操作して診療や手術を行ったり、幅広い用途に活用できます。「なぜ5Gだと遅延が発生しにくくなるの?」と疑問を持つ人も少なくありませんが、これは5Gで通信機器とサーバーの物理的な距離を縮める技術(エッジコンピューティングと言います)を採用しているためです。従来よりも通信経路が短くなる分、遅延が発生しにくい仕様となっているのです。
③多数同時接続
3つ目の特徴として、5Gは「あらゆるデバイスをインターネットに接続できる」という機能を有しています。スマートフォンやパソコンだけに限らず、自宅の家電製品や街中に設置されているカメラ、無人航空機のドローンなど、あらゆる製品がネットワークに接続可能となるのです。これにより、インターネットと連動した自動制御可能な家電製品を製造したり、カメラやドローンで撮影したデータを直接収集したり、ネットワークのシームレスな活用が期待できます。
やがて訪れる6Gの世界
5Gの先にやってくる「なら6Gはどうなるの?」という疑問を感じた人も居ることでしょう。国や通信事業者が5Gの効果検証をしている傍ら、6Gの将来的なサービス提供を目指すべく、次世代に向けた協議も行われています。
- 5Gよりも高速で大容量の通信が可能となる
- 空や海、果ては宇宙などあらゆる場所でネットに接続できる
- 無線信号からの給電技術で端末デバイスが充電不要になる
- 働く場所や時間の制約を完全に撤廃できる
それは、空飛ぶ車や、海の中を自由に行き来できる車のような世界なのかもしれません。
私たちは、いま現在、4Gの世界にいますが、ここでスマートフォンのあつかい方をマスターしていると、やがて訪れる夢のような超高速通信の時代に対応できます。